waltz

A shuddering wolf lay. "He got shot." Mimi said.

はやくはやく、

他人とくらべてどう違うとか凄いとかダメとか悪いとか、もうやめろそんな話。目障りだ。

あんたが特別かそうでないか、という命題に議論の余地はない。あんたはあんたにとってみれば特別だ。
あんたにとって自分っつーのはあんたしかいないかんな。世間一般において自分という概念自体はそう特別なものではないけど、少なくともあんたはあんたというものがないと、何かが特別かどうかすらわかんねーだろ。その時点で特別だ。あんたにとってのあんたは重りではなく天秤なんだ。

で、相対的な特別さ、価値についての話をする場合、あんたは特別ではない。
なぜなら、特別に価値のある人間なんてのはこの世にはいないからだ。そんなもんいたら困るだろ。そいつ死んだらどうすんだ? 特別だったら交換きかねーべ。どうなんだ? 地球が爆発すんのか?なわけねーだろ。それっぽく見える奴がいても気のせいだ。
もしそんなものがあると仮定するならそれは人間ではないんだ。ある種の記号だ。偶像であり、名前であり、メタファであり、墓碑銘であり、書名であり、イメージだ。
記号は生き物ではない。人間は生き物だ。だから、もう一度言うけど、特別な価値を持つ人間なんてものはない。
死者が生きていないのと同じ意味で、あんたに特別な価値はない。皆平等に特別ではない。

あんたの渇きはそこに由来していない。
あんた馬鹿なんだよ。知能がない。魂も希薄。行動原理の規範はせいぜい切り離されることへの恐怖だ。
べつにあんたの良し悪しじゃなくて、つまりは単なる淘汰不足なんだ。間引き漏れ。これは社会の構造や歴史の流れの問題であって、あんたがどうこうって話ではないんだ。さっきも言ったけど、あんたがどうで、他の奴だと違うとか、そんな違いもないんだ。そもそも、良ければ、優秀であれば、持っていれば、善良であれば淘汰されないわけでもない。そんなルールない。勝手に作んな。群れのなかのどの蟻が踏まれずに済むかと同じでさ。基本ランダムなんだよ。

あんたの問題でもないのにあんたが頭を抱えているのはなぜか。それはだから、あんたが自分と記号と、現実と虚構の区別がついていない馬鹿だからなんだ。視野が狭窄だし、そもそも頭が使えないから現状把握もできない。そんで余計に苦しむ。あんたあれか? 神なのか? 違うだろ? 自分にとってどうなのか、ということと、みんなにとってどうなのか、ということはべつのことだ。それぐらい理解しろ。目障りだから。