waltz

A shuddering wolf lay. "He got shot." Mimi said.

肉食む羊

わたしたちは自らのために他者を殺す殺人者だ。 目的や量や質、つまり生きるためか快楽のためか、多く殺すか少しだけ殺すか、殺す道具や手段は人それぞれだが、ともかく人殺しであることに変わりはない。 わたしがあなた方を憎む理由は、その自覚の無さだ。 …

子どもたち

続けよう。 それらはCIとかEIとか略されて呼ばれていた。 さもintelligenceこそが神聖不可侵であるとでも言いたげな彼等のつけた低俗な呼び名ではあったが、命名行為自体に悪意を見出す彼女にとっては何でも良く、修正には至らなかった。 degraded natureく…

クーベルチュール

わたしはいつも、死について考える。 死についての歌と構造と歴史と未来のことを考える。 わたしはそのとき、生について考える。 その輝きと、影のことを考える。 ゴミのような人生たちと、そこ星のような瞬きについて考える。 わたしはそして、愛をおもう。…

歌をうたう

ちょっと前なら、みな殺しで済んだ。 悪に近いものをすべて殺せば善いものだけが残り、 しばらくしてわいてでた悪をまたみな殺したり、 間に合わずに、かつて善いものだったものが悪とされて殺されたりして。 その繰り返しだった。 状況が変わってきたのはい…

普通さとか常識とかまで行かなくても、辞書やインターネットで探せば出てくるようなロジックが使えるんであれば、その方が楽だし、何より広い理解が担保できる。安心だ。 頭のなかの話。 でもね、それ結構寄せてってるだろお前。ライブラリの方にさ。類型化…

現在、それがここにあること、より、 未来に、それがここにあることの方が重要だ。 わたしは価値という概念を憎んでいるが、その理由のひとつがそこにある。 未来。 遠い遠い未来だ。 いつかにとって今がそうであったような、 今にとってのいつか。 わたした…

わたしたちはよく、僕、とか、君、とか言うけれど、本当はそんなのとっても曖昧なくくりだ。わたしはきみがきみでないものでできていることを知っている。わたしはきみのことを、正確な意味ではヒトだとは考えていない。きみは知っているのか? 自分が何者か…

もどき

人権、ただ人であることだけで生ずる権利というのは一般的にそれぞれの国家がそれぞれの国民に対して保証するものだけど、その性質上、つまりただ人であることだけが要件であるために、国家は他の国家とその国民に対してもその理念を適用させようとする。国…

収斂する茎

伝えたいことを正確に伝えることはできない。なぜなら、言葉や記号がプロトコルに沿っているものだとしても、わたしとあなたが違うものだから。電気信号が同じでも、使っている電話機が違うのだ。それでもあとすこし、もうすこしの正確さを求めるなら、同じ…

ひもろぎ

よくわかんないんだがよ、おたく何者?なんかさー数えてみ。ここ二千年の、例えば哲学者の数をさ。せいぜい10人だよ。有名どこはよ。まあそんなかでも色々いるよ。馬鹿もいるし見栄っ張りもいる。どーってことねーんだ。基本あれよ。ただの人間だよ。なんか…

はやくはやく、

他人とくらべてどう違うとか凄いとかダメとか悪いとか、もうやめろそんな話。目障りだ。あんたが特別かそうでないか、という命題に議論の余地はない。あんたはあんたにとってみれば特別だ。あんたにとって自分っつーのはあんたしかいないかんな。世間一般に…

飛んで

夜の街灯が照らす白い円をよけて縫うように歩く、空気は冷たく蠢めく春の種子を孕んでいる。あなたは、なにものでもない。わたしは、ここにはいない。あなたのとなり、今、耳朶を舐めている。わかるだろう。繕うな。無理すんな。命を使え。怜悧な脳が得をし…